支援実績:製造業|公的専門家派遣制度

2020(令和2)年度専門家派遣事例集(中小企業119)に掲載されました。

従業員満足度調査で労使納得の人事制度を構築

支援先基本データ
■業種:製造業 ■従業員:34人 ■資本金:1,000万円 ■創業:昭和44年 ■住所:神奈川県藤沢市 ■企業概要:印刷業

支援の概要
支援先企業は印刷物を通じてお客様と社会のつながりを良くする「印刷を用いたソリューションビジネス企業」を目指している。企画、デザイン、商品製造までを一貫して行い、クライアントの様々な要望に対応できる、企画力に定評がある総合印刷企業である。現在の人事制度は数年前に人事コンサルに依頼して作成した。しかし、社員を実績面だけで評価するものであり、人事制度によって人材を育成し、本企業のソリューション力を向上させたいという社長の思いとは大きな隔たりがあった。そのため、新しい人事制度の構築について当機関に相談があった。

支援の概要
現状把握を行い、人事制度改定は単なる管理的思考を強化するのではなく、会社と従業員のベクトルを一致させ、やりがいや幸せを感じられるものにするという方向性を明確にした。具体策としては、等級制度の作り直しを中心にそれに関連する評価制度や報酬制度を改定することとした。管理職は部門運営や部下育成を重視した役割等級とすること、非管理職は全社共通の期待する人物像に加え職種別に等級ごとの着目する能力を個別設定するように指導した。また、従業員の気持ちを把握し新しい人事制度に反映するために従業員満足度調査を行うことを提案し、その実施方法について検討を行った。

成果
従業員満足度調査は現行の制度や会社に対する意見を無記名のアンケート形式で行った。現状の仕事や職場に対する満足度は約70%と高く、フリーコメントも多く寄せられたが「結局は現状のまま変わらないだろう」といったネガティブなものもあった。しかしながら、この調査を行ったことにより「会社が意見を聞いてくれる」ことを従業員が認識し、社長の人材育成に対する思いも伝わることとなった。また、会社運営に係る従業員の心情を社長が把握できたのも大きな効果であった。人事制度は等級制度における評価基準を見直し、年2回の賞与の工夫、年次評価の実施とそれを昇給・昇格に結び付けるように変更し、説明会を全社員向けに実施した。新しい人事制度によって個々人の行動基準が明確になったことにより、こうすれば評価されるといった各ポジションで責任を持った行動がみられるようになってきた。


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